秘密道具の話
前にも書いたことがあるが、好きな秘密道具がある。
声が固まり口から飛び出す、コエカタマリンだ。口から出た「ワ」(?)にのび太が腰かけているのが印象的だった。
漫画に描かれる効果音から着想を得て、そのまま秘密道具になったと勝手に想像しているが、ある意味メタな秘密道具であることは間違いない。
勉強を教えていた生徒たちに、コエカタマリンとホンヤクコンニャクを一緒に使ったらどうなると思う?と雑談がてら聞いていた。生徒たちは、「アー確かに。どうなるんでしょうね」と答えるばかりだった。
これは生徒には聞かなかったが、海外版のドラえもんでは、コエカタマリンはどうなっているのだろう。英語版は?中国語版は?とにもかくにも、中国語版は腰かけにくそうである。
ワと叫んで、カタカナのワが出てくるのは恣意的で、単純に考えたらWaが出てくる可能性もある。コエカタマリンには、声と同時にその言葉で思い描いていた言語が飛び出る、何かしらの仕掛けがあると考えざるを得ない。
つまり、ホンヤクコンニャクを飲んで、コエカタマリンを使っても、自分の思い通りの言語が口から飛び出すということになるのかもしれない。あまりにつまらないが。
自分がコエカタマリンを使うことを想像してみる。
小さく声を固め、唇の端からポロポロとこぼれ落ちる言葉。床にたまってカサカサ擦れる音がする。床一面に並べて、自分のいった事と全く違う順に並び替える。これがとても難しく休みを一日費やす。
そう、今週末もとくに何もしなかったのだ。明日から仕事だが無感情。おやすみ。