轢き逃げ
蛇を轢いたことがある。原付きで山道を走っていたときだった。
細めの枝だと思っていた。近寄ると蛇だとわかったが避けるには遅すぎた。
走りながら振り返ると、タイヤが通ったところは地面に縫い付けられているような感じで平になっていて、それ以外の部分でのた打ち回っていた。
怖くて、轢いたとき以上のスピードで逃げた。
今でも轢いたときの嫌な感触は思い出せる。
蛇を轢いたときでさえあんなに怖かったのに、人を轢いたときどんなに恐怖を感じるのか想像もできない。殺した手ごたえがあるなら、なおさら。
テレビでは轢き逃げを卑劣な犯罪というが、逃げる理由の99%が恐怖を占めると勝手に想像している。卑劣というよりも弱さの犯罪だろうと思う。
もしまた動物を轢いてしまったら、せめて道の脇に寄せられる勇気を持ちたい。
脇によせたら#9910に電話して、謝りながら帰る。帰りの車は泣いてしまうような気がする。
人は絶対轢かないように運転します。おやすみ。